ヒーロータイム
「おい、真田! 弁当!」
今まさに玄関のドアを開けて出ていこうとしていた真田の背中に、跡部の声が掛かった。
「ったく、忘れんなよ。人がせっかく作ってやったもんを」
「む、すまん」
ずいと差し出された弁当入れを受け取りながら真田は答えた。手に持った袋が予想以上に重かったので、思わず中を覗き込む。
「弁当以外に何か入っているのか?」
「レモンのはちみつ漬けだ。疲労回復にはクエン酸って言うからな。多かったら周りの奴と分けな」
透明な密封容器の中には、薄くスライスしたレモンが綺麗に列を成して並んでいる。
いつの間にやら、跡部の多岐にわたる趣味の一つに、ちゃっかり料理も加わったらしい。元来の凝り性を発揮して、最近では弁当作りに熱を入れていたが、ついにスイーツにも手を出したようだ。
「ありがたく頂こう」
肩にテニスバッグ、片手に弁当箱の入ったバッグを提げて、真田は生真面目に振り返った。
「では、いってくる」
「おう、気をつけてな」
「うむ」
ドアノブを掴んで開ける。途端、何か思い出したように真田が足を止めた。
「どうした? まだ何か忘れ物か?」
「いや……、言い忘れていた。今日は少し帰りが遅れる」
「アーン!?」
跡部はそれまで穏やかだった声を荒げた。
「当日になって言うんじゃねーよ! 今晩、手塚が帰ってくるっつーのは、二日前には分かってただろーが!」
まるで急な接待の入った夫を責める新妻である。
先週末から中国で行なわれていたツアー戦。本戦三回戦で惜しくも敗れ、本日帰国予定の手塚の為に、ささやかながら慰労会を開くつもりで準備を進めていた跡部である。突然の申し出に承服しかねているようだ。
「すまない、急な用事が入った。なるべく早く戻る」
「何だよ、その急な用事っつーのは」
跡部が真田をじとりと睨む。途端、真田はあからさまにうろたえ始めた。
「いやなに、ちょ、ちょっとな。うむ、まったく大したことではない。いやまったく、本当に、些細な用事だ。ではっ!」
そう言うやいなや、靴箱にぶつかりながら転び出ていく真田の後ろ姿を、跡部は呆気に取られて見送った。
「真田の奴、臭うな」
リビングの扉を後ろ手に閉めながら、跡部は目を細めて言った。
「……消臭剤、多めに買っとく?」
ダイニングテーブルに伏せていた越前が、まだ半分夢の中にいるような声で言う。
「おまえ、そりゃわざと言ってんのか?」
「なにが……?」
自分の頬の熱で温くなった所から、新しく冷たいところを探してテーブル上をずりずりと移動しながら、越前はだるそうに跡部のほうを見た。
「仕方ないじゃん、夏場の男四人暮らしだし。規格外はアンタだけだよ……」
欠伸まじり言うと、跡部は大きな溜息をついた。
「そういう意味じゃねえ、比喩だっての。真田の野郎が怪しいって言ってんだ。そういや、この前も『ちょっと野暮用が』とか言って、真昼間から出掛けて行ったが……。さてはアイツ、女でも出来たか?」
最後の一言を聞いた途端、越前はバッと頭を上げた。
「マジ!? あの人に彼女!?」
「そうと決まったわけじゃねーが……。あいつがあんなに慌てるなんて、何かあるのは確かだろ」
「跡部さん。それ、確かめるっきゃないっしょ」
越前はキリリとした表情で跡部を見つめた。妙にやる気に満ちた目をしている。
「越前おまえ……、暇を持て余してんだな」
その日の午後、立海大を出た真田が向かったのは、駅前に立つショッピングモールだった。洋服や雑貨を売る店、レストランやスイーツショップが立ち並び、夏休みということもあって、どこも学生や家族連れで賑わっている。
「越前よ。一般的に、こういうところでデートするもんか?」
ばれないように距離を保って跡をつけながら、跡部が訝しげに尋ねる。
「大学生ならアリなんじゃない? 俺的には、もうちょっと落ち着いたとこのがいいけど」
「ほーう」
跡部が面白そうに言った。
「……なんだよ」
「いや? 越前も、いっぱしの口利くようになったじゃねえの」
「アンタが聞いたから答えただけじゃん」
「桜乃って言ったか? 今度、話聞かせろよ」
「ヤなこった」
柱の陰に隠れて小突きあう二人の姿はかなり周囲の目を引いていたが、真田は背後のそんな様子に気付くことなく足早に進んでいく。右に折れ、左に折れ、最終的にモールの中心部にある吹き抜け部分に建てられた白い仮設テントの前へ辿り着いた。
「これさ、ひょっとしなくてもデートじゃなくない?」
真田の姿がテントの中に消えてしまうと、越前は不満そうに跡部の方を振り返った。
「だから初めっからそうだとは言ってねえだろ」
「ちぇっ、つまんないの」
越前が唇を尖らせる。
「じゃあさ、せっかくだから何か甘いものでも――」
「なにぃ!?」
テント内から突然、道行く人も足を止めるほどの大声が響いた。間違いなく真田の声だ。跡部と越前は視線を交わして頷きあうと、足音を忍ばせつつテントへ近づいていった。
「まずいよぉ~! 本番まで、あと一時間しかないってのに!」
「せめて敵役なら一人二人欠けようが何とかなったんだけどなあ~」
男たちの困りきった声が聞こえる。
「レッドとピンクが来られないとは? いったい何が起きたんです?」
真田が硬い声で尋ねる。
「ああ、リュウくんとエミちゃんなんだけどね、旅先で食あたりになって動けないって言うんだよ。さっき病院から電話かけてきてさ。もう、あんまりしんどそうだから、こっちも『お大事に』としか言えなかったよ……」
「参ったな。代打を呼ぶにしても、今からじゃ到底間に合わないぞ」
「まったくこんな時に! しかし、何故二人して旅行になど……」
「おいおい、弦ちゃん、何故ってそりゃ――」
「出来てんだろ」
「出来てんでしょ」
跡部と越前は、ほぼ同時に声を出した。
「しかし、なんだ? レッドとピンクってのは。コードネームか何かか?」
跡部が不思議そうに首を捻る。同じく考え込んでいた越前は、ふとテントの裏手に目をやって声を上げた。
「跡部さん! アレ!」
越前の指差す先にあったのは、全長十メートルほどの仮設ステージだった。上部の看板には、デカデカとした文字で「武士(もののふ)戦隊トウケンジャー・ヒーローショー」と書かれている。
「俺、テレビで似たようなの見たことある! 全身タイツを着た五人組が怪人と戦う、子供向けのドラマだよ!」
「全身タイツだぁ!? そりゃ、ホントに子供にウケんのか?」
「大ウケだぞ」
突如背後から掛けられた声に、跡部と越前は飛び上がった。
「げっ、真田さん!」
「チッ、見つかったか」
「貴様ら! よくも人の跡をコソコソと……!」
雷の落ちる気配を察知して、越前は無意識に目を瞑った。しかし、
「いや……、良い。むしろ二人ともよく来てくれた」
真田はワザとらしい作り笑いを浮かべ、猫なで声を出し始めた。越前の背中に悪寒が走る。隣に立つ跡部も胡散臭そうな顔をしている。真田はワザとらしく咳払いをした。
「跡部、それに越前。お前たちの度胸と勝負強さを見込んで、一つ頼みがある」
「ヤダ! 絶対にヤダッ!」
真田からの要求を聞き終えると、越前は即効で突っぱねた。アメリカ生まれのアメリカ育ちを舐めてもらっては困る。NOと言えばNOだ。
目の前の長机の上には、ピンク色の全身タイツ。腰周りには甲冑を模した短いスカートみたいなものがついている。
「普通に考えて無理っしょ! これ、女の子用じゃん!」
「案ずるな。普段これを着ている女子も百七十ほどの背丈だ。お前なら十分入る」
「こんな筋肉質な女子がいるかって言ってんの!」
「小さな子供は、そんなことには気付かん!」
「誰か知り合いに見られたらどうすんのさ!?」
「マスクをしていれば、誰もお前とは思わんっ!」
テントの中で一通りの事情を説明されてからというもの、越前と真田の間で押し問答が続いていた。
事の発端は、真田が大学の先輩から引き受けた臨時のアルバイトだった。
今、毎週日曜の朝に絶賛放送中の子供向け番組「武士戦隊トウケンジャー」は、日本刀を模した武器を使った激しいアクションシーンを売りにしている。その大立ち回りはチャンバラ好きな子供たちの心をガッチリ掴み、例年以上のヒット作となっているらしい。その影響はヒーローショーの依頼件数にも波及し、夏の繁忙期、ついに通常の人員では回りきらなくなったところで、剣道経験者である真田に白羽の矢が立った、ということだった。
真田自身、恥ずかしくて黙っていたらしいが、今回のこの事態である。背に腹は代えられぬ、と止むを得ず二人を引き入れて経緯を説明することにしたのだった。
「越前。人助けだと思って、一肌脱いでやろうぜ」
跡部は渋い顔をしながら赤い衣装を手に取った。
「そんなこと言うなら、跡部さんがピンクやってよ」
「そりゃ、サイズ的に無理だろ」
跡部が自分の体に衣装をあてがいながら言う。残念ながら、こちらはジャストサイズだ。
「ったく、色ごときで文句言うんじゃねえよ。俺だって真っ赤な衣装を着るんだからな」
「跡部さん、全っ然分かってない! ピンクとレッドじゃ意味が違うの! レッドはリーダーの色なんだから!」
ますます声を荒げる越前に、跡部はきょとんと目を丸くする。が、見る間に顔中に笑みが広がった。
「そうか、赤がリーダーなのか。なら、これ以上俺様に相応しい色はねえな!」
意図せず、跡部を乗り気にさせてしまったらしい。鼻歌を歌いながら、携帯で衣装を撮影し始めた跡部を見て、越前は絶句した。それにしてもちょろい。あまりにもちょろ過ぎる。どこかで悪い人に騙されたりしてないかな。
すっかり毒気を抜かれて立ち尽くす越前の肩に、ぽんと掌が置かれた。
「さあ、越前……、跡部は腹を括ったぞ」
すべての事情を説明し、もはや隠し立ての必要もなくなった真田は、すっかりいつもの調子を取り戻していた。
「越前、お前なら出来る! お前は侍南次郎の息子だろう!」
真田は越前の両肩を掴んで揺さぶった。
「親父は関係ないだろ! ってか、『侍』ってそういう意味じゃないし! 刀とか握ってないし!」
グラグラ揺すられながら、越前が叫び返す。
「越前、子供の夢を潰す気か!? ちびっ子たちは、ヒーローが来るのを楽しみにしているんだぞ! ピンクだけいないなんて……、あれだ、仲間内で痴話げんかでもあったのかと思われたらどうする? お前はピンクのイメージをぶち壊してもいいのか!?」
「ガキ共は、んな邪推しねえよ。しかし、当たらずとも遠からずじゃねえか?」
誰かに宛ててメールを打ちながら、跡部が茶々を入れる。
「ピンクのイメージなんて知らないよ! あーもう分かった! やるやる! やるってば!」
「そうか! やる気になってくれたか!」
真田がパッと手を離す。越前は頭を押さえた。揺さぶられたせいだけでなく、なんだか目眩がする。
兎にも角にも、ここに五色の全身タイツが揃ったのである。レッドとピンクの衣装に着替えた二人の前に立ち、真田が言い放つ。
「本番まで一時間。時は一刻を争う。今からお前たちに殺陣の基礎を叩きこむ! 三十分で物にしろ!」
「お、終わった………」
テントに戻った越前は、衣装姿のままその場にしゃがみこんだ。
夏の日差しが燦々と降り注ぐステージ上で、密閉性の高い衣装を身に着けてのハードなアクションを約三十分間。その後、すかさず写真撮影&握手会。途中、あまりの熱気で、一瞬自分が何処で何をしているのか分からなくなったほどだ。
「バァーカ! 声出しちゃいけねえなんて聞いてねえよ!」
「馬鹿はどっちだ、この大馬鹿者! そんなもの言わずとも分かるだろう!?」
口喧嘩しながらテントに入ってきたのは、レッドこと跡部、及び、ブラックこと真田。その後ろに、二人を取り成すようにして、ベテランのブルー、イエローが続く。
「まあまあまあ! 初心者とは思えない見事な動きだったじゃないか! 付け焼刃にしては上出来だよ!」
と、ブルー。
「そうそう! むしろ、アレのお陰で場も盛り上がったし! 結果オーライってことで!」
と、イエロー。
四人が話しているのは、ショーの終盤に起こったちょっとしたアクシデントのことである。
―――ショーのハイライト。敵方のボスとの最終決戦。
『追い詰めたぞ! ヨロイムシャー!』
爽やかな青年の声が会場に響く。スピーカーから流れる音声に合わせて、跡部は敵をスッと指差した。本番前に一度通しで聞いただけで出番の多いレッドの台詞と動きを完璧に覚えてしまったのは流石と言える。若干動きが優雅すぎるが、それも許容範囲内だろう。事実、子供たちは食い入るようにステージを見つめている。
『はっはっは、先ほどの手下どものようには行かんぞ! くらえ!』
敵役が腕を横に振るう。鋭い効果音に合わせて後ろにジャンプ! それと同時に倒れる! ……で、合ってるよね?
越前は記憶の糸を辿りながら他のメンバーに動きを合わせた。
『くっ、なんて強さだ……!』
ステージの中央付近で、片膝をついたレッドが若干オーバーに頭を振る。
跡部さん、ノリノリだな。
端のほうで地面に伏せながら、越前は冷静にステージを眺めた。その時だ。
「がんばれ! トウケンジャー!」
「レッド! 立って! 負けないで!」
「ヨロイムシャーなんか、やっつけてー!」
客席のちびっ子たちから、必死の声援が上がる。
レッドが客席に目を向け、そこで何かを見つけたかのようにピタリと動きを止めた。
さらに大きくなる可愛らしい応援団の声に、越前はマスクの下でついつい微笑んだ。
ピュアだなぁ。でも、ごめんな。確かここでもう一度、敵の攻撃が――、
「アーッハッハッハッハッハッハッ!!」
突然、聞きなれた高笑いが辺りに響いた。声の出所は、スピーカーでも、ましてや客席でもない。越前はおそるおそるステージ中央に目を向けた。
スポットライトよりも何倍もまぶしい太陽の下、すらりと立ち上がったレッドが顎を上げて笑っている。
先ほど聞いたボスのものより格段に堂に入ったその悪役笑いに、怪人(の中の人)も腰が引けている。セットの影で、音響さんが慌てて一時停止ボタンを押したのが目に入った。進行役のお姉さんが両腕でバッテンを作り、必死にストップの合図を送っている。申し訳ないが、この状態の跡部を止められる人はこの場にいない。
「安心しろ、坊主ども。俺様は負けねえ」
いつもと違う口調の、あまり日曜の朝向けでない艶やかな甘い声を聞いて、ちびっ子たちはポカンと口を開けた。そんなことは意に介さず、レッドが、というかもう跡部が、左腕を高々と掲げ、指を弾いた。乾いた指の音が客席の端まで届く。なんで鳴るんだよ、グローブ嵌めてんのに。
「……レッド! レッド!」
まさか、と思う暇もなく、子供たちの間から次々に声が上げる。テニスコートでも何でもないこの真夏の昼下がりの仮設ステージで、また一つ、新たな伝説が生まれようとしていた。
「レッド!! レッド!! レッド!! レッド!!」
一人、また一人と増えていったレッドコールは、いつしか小さなステージを飲み込む熱狂的なものへと変わっていく。跡部はその声に答えるように鷹揚に頷くと、音響スタッフに向けて小さくキューを出した。再び台詞の再生が始まる。
その後は、どうにか決められたシナリオに沿って五人の必殺奥義でボスを倒し、めでたしめでたし。おおむね通常通り終わったはずだ。一点、異常なコールがエンディングまで鳴り止まなかった以外は――。
「ちょっとテンション上がっちまっただけだろ。大目に見ろよ」
跡部はマスクを取ると、ムスっとしながら前髪を掻きあげた。汗を吸った小麦色の髪が色を濃くしている。これでステージに出ていたら、もっと大変な騒ぎになってたんだろうな、と越前は他人事のように思った。
「ま、無事終わったんだし、もういいでしょ? 早く帰ろうよ。部長も家に帰って誰もいなかったら寂しいじゃん」
越前もマスクを外して言った。真田が訝しげな顔をする。
「越前、話を聞いていなかったのか? あいつなら」
「失礼します」
短い言葉と共に、テントの入り口が開く。顔を出した人物を見て、越前は大声を出した。
「て、手塚部長!? なんで!?」
この時間、手塚ならちょうど空港に着いた頃のはずだ。
「本番前に衣装の写真送ったら、予定より早い便に乗れたから見に来るって。台詞流してる合間に伝えたじゃねえか」
「聞いてない! ってか、それどころじゃなかったじゃん! 言われたって耳に入ってないよ!」
殺陣の練習後は、ショーの流れを覚えるのに必死だった。そういえば途中、跡部と真田が一言二言なにか言っていた気もする。
「早く帰ってきて良かった。おかげで面白いものが見れたな」
言葉のわりには特に面白そうな顔をするでもなく手塚が言った。途中で跡部のテンションがダダ上がりしたのも、おそらく観客の中に手塚の姿を見つけたせいだろう。まったく、人騒がせな人たち。
「どうだったよ、俺様の華麗な殺陣は! 惚れ直したか?」
「途中の高笑いがなければ、あるいは」
刀を構えてその場でくるりと一回転して見せた跡部に向けて、手塚はクールに言い放った。いや、高笑いがなければ惚れ直したのかよ。
「越前。お前の演技もなかなか良かったぞ」
「あ、どもっス……」
唐突に話を振られて、越前は思わず会釈した。普通に褒められてしまった。
「周りに合わせておっかなびっくり動いているところなど可愛らしかったな。ピンクなら、もう少し色気があってもいいとは思ったが」
手塚の視線が無遠慮に突き刺さる。自分の今の恰好を思い出して、越前は頭を抱えた。
「だからぁ! 俺に可愛さとか色気とか求めるなって言ってんじゃん!」
「手塚ァ! 色気なら俺様が存分に振り撒いてやったろうが!」
越前と跡部がそれぞれ喚き立てる。
「おい、手塚。着替えたらすぐに合流する。少し待っていろ」
真田の言葉で思い出したというように、手塚は自分のカバンを漁り始めた。
「そうだ、そのためにテントまで来たんだった」
怪訝そうな三人の前で、手塚はごそごそとカメラを取り出して言った。
「着替える前に一緒に写真を撮ってくれ。出来れば、後ろのお二人も一緒に」
手塚の瞳は、どこかキラキラしているように見えた。端的に言えば、手塚も幼い頃は戦隊ヒーローに憧れたクチだったわけである。
「ヤダヤダッ! 絶ーッ対ヤダッ!」
手塚部長のミーハー!
越前は、今度こそ手で顔を覆って膝から崩れ落ちた。