76. 許可がいるなら、いくらでも
中学生同士の対戦が終わり、負けた者たちが合宿所から去ると、別れを惜しむ間もなく新しい部屋割りが廊下に張り出された。手塚は人数が半分に減ったリストに目を通し、自分の部屋番号を確認して、その横に書かれた同室者の名前に目を留めた。
「お前と相部屋で助かったぜ。誰とは言わねえが、いびきが酷くてよ」
跡部は二段ベッドの足元に荷物を置いて振り返った。
「俺がいびきをかくとは思わないのか?」
枕やシーツといった備品を確認する手を止めて、手塚は真面目くさった顔で尋ねた。
「そんな面白いことがあったら、朝食が終わる頃にはみんな知ってる」
手塚は合点がいったような、いってないような相槌を打って、ふと首をかしげた。
「上の段でなくていいのか?」
「なんで?」
「高いところが好きかと」
「どんなイメージだよ。そもそも高い場所にあるベッドなんて落ち着かねえ……って分かったから遠慮する」
「試して初めて分かることもあるな」
跡部は困ったように笑いながら肩をすくめた。
「まったく、学ぶことが多いぜ」
消灯時間になって部屋の電気を消した後、少し経ってから跡部が唐突に「棺桶の中ってこんな感じなんだろうな」と言い出した。
「いや……、棺桶はもっと狭いと思うが」
「なら、俺は吸血鬼にはなれねえ」
「……なりたかったのか?」
手塚は向かいのベッドに目を向けた。跡部は二段ベッドの裏側を凝視している。
「吸血鬼でなくても、いつかは嫌でも入ることになるぞ」
「死んだ後なら構わねえんだけどよ……」
それきり跡部は黙り込んだ。その後もしばらく寝返りを繰り返していたから、ベッドが変わると寝られない性質なのかも知れない。もしくは、単純に合宿所のベッドが彼にとっては狭すぎるのか。
寝る前にそんな会話をしたせいか、翌朝、手塚は服を着替えながら、ふと跡部のベッドに目をやった。寝苦しそうにしているかと思いきや、跡部はたった今眠りに落ちたばかりのように静かに仰向けになっている。手塚は拍子抜けするとともに、そのあまりに穏やかな寝顔を見て、急に不安になった。音を立てないように近づき、ベッドの縁にしゃがみ込む。口元に耳を寄せると、やっと小さな寝息が聞こえてきた。
黙っていれば美形なのに、と跡部を揶揄する声を聞いたことがあるが、それは間違いだと思う。黙っているだけ、眠っているだけでは、よく出来た人形と変わらない。いきいきと話しているときこそ、跡部は跡部らしい。俺はそんな跡部が――。
「……寝込みを襲いにでも?」
いつ目を覚ましたのか、跡部はベッドに仰向けになったまま、なにか面白いものでも見るような目つきで手塚を見上げていた。
「生存確認だ」
「寝息が静かすぎるとは言われたことがある」
まだ起きるつもりはないらしい。跡部はこちら向きに寝返りを打った。窓の外では、ようやく山の稜線が白み始めている。
「てっきりキスされるかと思ったぜ」
「相手の意向も聞かずに、そんなことするわけないだろう」
手塚は眉をきりりと吊り上げてそう言うと、顔を洗いに部屋を出た。扉の閉まる音が聞こえて、跡部は脱力した。
「……していいって言えばするのかよ……」
77. 紺碧を描く
雪のように白い外壁の洋館は、ここ最近増えてきた西洋風の建築物の中でも群を抜いて大規模なものだった。露草色の屋根には小さな出窓がいくつも張り出し、繊細な装飾の施された細長い屋根飾りが蒼天を突く。
手塚は画材や着替えの入った大きなカバンを肩に掛け直し、着物の襟を正すと、玄関の扉を叩いた。すぐにメイド服を着た女中が現れ、屋敷の中へ通される。絨毯敷きの廊下に並ぶ大きな窓からは、先ほど通ってきたばかりの広大な庭が一望できた。
とある貴族から手塚のもとに肖像画の依頼が舞い込んできたのは、つい数日前のことだった。下宿先で電話を取り次いでもらったときは、最初は何かの悪戯かと思った。と言うのも、手塚が日ごろ描いているのは森や山を主題とした風景画で、屋敷の主の目に留まったという人物画は、ほんの手習いのつもりで描いたものだったのだ。提示された報酬は、駆け出しの画家には破格の高値だった。不思議なめぐり合わせに感謝しつつ、手塚は一も二もなくこの仕事を引き受けた。
柱時計が十時を告げる。応接間の扉が開いて、若い男が現れた。パリッと糊のきいた白いシャツに、淡い象牙色の背広を着ている。それより目を惹くのは、秋の稲穂にも似た金色の髪、飲み込まれそうな紺碧の瞳。
「先生、よくお越しくださいました。跡部景吾と申します」
青年は白い手を差し出して言った。手塚はその手を握り返しながら「手塚国光です」と短く名乗った。
「先生に肖像画をお願いできるとは光栄です」
「いえ、こちらこそ。精一杯やらせていただきます」
跡部は笑みを浮かべて頷いた。
「お仕事の間の住まいは、離れにご用意させていただきました。あとで案内させましょう。絵のほうは、屋敷の中で描いていただこうと思っているのですが、何かご要望はありますか? こういうのは先生によって、やり方が違うものでしょう?」
跡部が小さく首をかしげる。
「それが……、こちらも肖像画をまともに描くのは初めてのようなもので。あまり拘束するのもなんですが、要領を掴むまでは少々お時間をいただいても?」
「ええ、構いません。それで良いものが出来るなら」
手塚はほっと胸を撫で下ろした。この後は荷物を置くために一旦離れに寄ってから、しばらくのアトリエとなる部屋へ案内してもらうことになった。
「ところで、俺の絵の何がそんなに良かったのでしょう?」
淹れてもらっていた紅茶にようやく手を伸ばしつつ手塚は言った。
「先生の絵には嘘がないから、ですかね」
跡部はそう言って自分のカップに口をつけた。
「嘘?」
「この見た目でしょう? 忖度なのか、単に描き慣れないだけなのか、誰も彼も黒に近い色でお描きになるんですよ」
跡部は自分の顔を自嘲ぎみに指差した。日本人にはありえない色を見れば、異国の血が混じっているのは一目瞭然だった。家柄ゆえに忌避される事実。
「以前から、いつか一枚くらいは本物の色の肖像画が欲しいと思っていまして。そんなとき、たまたま展覧会で先生の絵を拝見したんです。先生の描かれたあの老婆を見たとき、心から美しいと思いました。皺やシミだらけの肌も、欠けた前歯も、何もかも。それで、先生に描いていただけたなら幸せだろうな、と」
「そうでしたか……。ちなみに、あれはうちの祖母です」
跡部はパッと顔を上げた。慌てた顔は、それまでの悠然とした雰囲気とは一変して年相応に見えた。
「これは、とんでもない失礼を……」
「いえ、事実ですので。それでも美しいと言ってもらえて嬉しいです。俺も、自然体な祖母の姿が好ましいと思って筆を取ったので」
時計の針がチクタクと音を立てる。窓から差し込む日射しを受けて、ほんの僅かな瞬きの合間にも、跡部の瞳は複雑な色合いに変化する。
「あなたを描くには、なかなか時間がかかりそうだ」
手塚は出し抜けに言った。
「どの絵の具をどう混ぜれば、そんなに見事な紺碧が出せるか分からない」
口に出した後になって、まるで口説き文句のようだったことにはたと気づいた。跡部も同じことを思ったのか、呆気にとられたように手塚を見つめている。跡部は小さく吹き出してから言った。
「先生の思う色で。出来ればその目に映った通りに」
「もちろん、そのつもりです」
暗い室内より、明るい窓辺がいい。手塚は幻のキャンパスに構図を描きながら、何か新しいことが始まる前の、そわそわするような胸の高鳴りを静かに抑え込んでいた。
78. たまごぞうすい
ピピピと電子音が鳴る。手塚は脇の下から体温計を引き抜いて、緑に光る表示板の数字をぼんやりと見つめた。
「何度だった?」
と跡部が言う。
「三十七度五分」
ケースにしまおうとする手塚の手から、跡部は体温計を奪い取った。
「三十八度五分ね」
手塚はベッドに横になったまま、憮然とした顔で跡部を見上げた。跡部は苦笑いを浮かべている。
「ったく、サバ読むのは年だけにしとけよ」
「……俺がいつ年を誤魔化した」
「今日は家にいるから。何かあったら呼べよ」
「一人で平気だ。それに、うつしたくない……」
手塚はズビと鼻を啜った。正直、目を開けておくのも億劫だった。
「俺だってうつされたくねえよ。でも、こんな状態のお前を放ったらかして会社なんか行っても、仕事に身が入らねえ」
跡部は冷却シートを取り出すと、手塚の額に問答無用で貼り付けた。
「朝飯は?」
「いらない……」
「じゃあ、薬と水置いておくから。飲んで寝ろ」
跡部は言い含めるようにそう言って部屋を出た。
テレビも携帯も見る気にならない。寝室の扉の向こうから跡部の話し声がして、キーボードを打つ音が微かに聞こえた。今日はリビングで仕事をするのだろう。手塚は大人しく薬を飲んで横になった。目覚めたばかりだというのに眠気はすぐに訪れた。
「昼飯作ったけど、食べれそうか?」
扉の隙間から跡部が顔を出す。さっき朝食の話をしたばかりだろ、と言いかけて枕元の時計を見ると、驚いたことに既に正午を回っていた。
「……すこしなら」
ようやく出た声はカサカサなうえ、情けないほど弱々しかった。
一分も経たないうちに、お椀とれんげの乗ったお盆を持って跡部が戻ってきた。お椀の中には雑炊がこんもりと盛られている。卵のやわらかな黄色の中に、小さく切った人参やネギが入っているのが見える。湯気の立つ雑炊を一口すくって口に運ぶ。懐かしい味がした。
「子供のとき、風邪をひくとよく、こういう雑炊を作ってもらっていたな……」
「そうだろうよ」
跡部はなぜか自信満々に頷いた。
「その雑炊、彩菜さんからレシピ聞いて作ったもんだからな。体が弱ってるときは、おふくろの味ってのが恋しくなるもんだろ?」
跡部はそう言って小首をかしげた。なんだか無性にキスしたい気持ちになったが、やっぱり風邪はうつしたくなかったので、代わりに黙々とれんげを口に運んだ。
79. イチゴシロップ配合
春休みのある日、部活が終わって帰ろうとしたところで乾に呼び止められた。
「手塚、渡したいものがある。これを」
乾はそう言って栄養ドリンクのような瓶を取り出した。中にはピンク色の液体が入っている。
「なんだ?」
「乾謹製ラブ・ポーションだ」
「……何だって?」
手塚は何かの聞き間違えかと思って聞き返した。
「最近自家製ドリンク作りにハマっているんだが、そこで偶然出来上がったんだ。これを意中の相手に飲ませれば、百パーセント、相手は君に恋をする」
手塚は顰め面のまま無言で乾を見つめた。
「信じるも信じないも自由だよ。おっと、他のみんなにも渡さないと」
乾は手塚の手に瓶を押しつけるようにして渡すと、帰り支度をしている他の部員のほうを向いた。
「そうそう、消費期限は今日中だから。もし使ったら、効果のほどを教えてくれ」
大通り沿いの桜は今が見頃だった。無理やり渡された謎の液体を片手に、手塚は桜の下をゆっくり歩いていた。並木道も半分くらいまで来たところで、ふと前方に氷帝の跡部が立っているのを見つけた。跡部もこちらに気づいたようで桜の木から手塚に視線が移る。
「よお、練習帰りか?」
「ああ。こんなところで会うとは珍しいな」
「入学式の演出の件で、業者と打ち合わせがあってな。帰りの車からこれが見えたんで、ちょっと寄り道してる」
入学式の頃にはだいぶ散ってしまっているだろう。風が吹くたび、ざあざあと気前よく桜の花びらが散っていくのを見ると、なんだか勿体ないような気持ちになる。
「オッサン臭いもん飲んでるな」
跡部はふいに手塚の手元を指差した。滋養強壮剤か何かだと思ったらしい。手塚は小瓶に目を落として「乾お手製の惚れ薬だそうだ」と言った。
「何だって?」
手塚は乾の話をかいつまんで説明した。跡部は大笑いするだろうと思いきや、なにやら考えこむように瓶を見つめている。
「で、どうする気だ?」
「どうするって怪しすぎるだろう。流しにでも捨てる。乾の話を信じるつもりはないが、飲ませたい相手もいないしな。そもそも、そんな方法で相手の心を手に入れたとして、何の意味がある?」
「模範解答だな」
跡部は人を小馬鹿にしたような口調でそう言ってから、おもむろに手を差し出した。
「せっかくだし、試してみようぜ」
「飲むのか?」
「自分で飲む気も誰かに飲ませる気もねえなら、俺が飲んだっていいだろ?」
「構わないが……。体に悪そうだぞ?」
「乾だって人に飲ませるつもりで渡したんだから、そう不味くは作ってねえだろ」
跡部は手塚の手から小瓶を受け取ると、キャップを捻り、一気に口の中に流し込んだ。途端、跡部の眉間に皺が寄った。飲み込んだ後も、口元に手を当てて黙り込んでいる。
「大丈夫か……?」
「……飲めなくはねえけど、舌が痺れるくらい甘ぇ……」
跡部は顔を顰めながら、べえと舌を出した。舌先が赤くなっている。
「他に異常はなさそうか?」
「異常ねえ……」
跡部はそう言って桜の木を見上げていたが、ふと視線を正面に戻すと、今はじめて気づいたような顔で手塚を見た。
「手塚、お前……改めて見ると、結構可愛いな」
「は?」
呆気に取られている手塚の肩を両手で掴むと、跡部はそのまま顔を近づけた。
「おい、まさか本当に――」
のけぞるあまり、後ろにひっくり返りそうになる。すると突然、跡部が大声で笑い出した。手塚は目を丸くして跡部の奇行を見守った。
「まだ気付かねえのかよ?」
笑い半分呆れ半分に跡部が言う。
「なにが……?」
「今日が何月何日か言ってみろ」
「今日? たしか、四月のつい…………、エイプリルフール?」
そういうこと、と言いながら跡部は目尻に浮かんだ涙を拭った。
「乾のやつ……、どうにかしてグラウンド十周走らせてやる……」
「職権乱用」
「いつ気付いた?」
「乾お手製の惚れ薬ってところ」
「最初からじゃないか……」
手塚は思わず天を仰いだ。一枚、また一枚と、桜の花びらが落ちてくる。跡部の屈託のない笑い声が晴天に響いた。
80. Show Must Go On
手塚が救護室代わりに使われた控室の一つに着いたとき、跡部はちょうど荷物を手に部屋を出ようとしているところだった。
「おう、お疲れ。握手会終わったのか?」
跡部はいつものように軽い口調で言った。そう、まるでいつも通りだった。
「なんでお前がここにいる」
「あん? 不二に聞いてんだろ。倒れた子なら、さっき親御さんが迎えに来たぜ。しばらく横になってたらだいぶ良くなったみたいで、ライブの後半はモニターで見てた。今回は残念だったが、また来たいって――」
「そういう話をしてるんじゃない!」
跡部の話を遮るように手塚は声を荒げた。不思議そうな顔をする跡部を見て、ますます苛立ちが募った。
「お前だってライブを見に来てるんだ。スタッフに任せて会場に戻ればよかっただろう」
「ああ、人手が足りねえようだったから、俺がついとくって言ったんだ。一人きりにして万が一何かあってもマズいだろ?」
「そんなこと、客のお前が心配することじゃない」
大声を出しそうになるのを無理に堪えると、低く掠れた声が出た。眉間に寄った皺の深さから、ようやく跡部も常にない手塚の機嫌の悪さに気付いたようだった。
「そうだな……、現場の判断はプロに任せるべきだった。客が首つっこむ話じゃなかったな。悪い、軽率だった」
跡部はそう言って目を伏せた。これまでゆっくりとだが確実に縮まってきた距離を、一気に突き放された、そんな気がした。いや、先に突き放したのは俺のほうだ。
「違う、謝ってほしいわけじゃない。俺はただ、お前にステージを見てほしかったんだ」
正確には、ステージの俺を見てほしかった。
「なんだよ、いつも見てるだろ?」
「渾身のファンサの後、急に客席から消えられたこっちの身にもなれ」
恨みがましい目を向けたつもりだったが、その場面を思い出したのか跡部は目を細めた。
「あれ良かったな。みんなバタバタ倒れてたぜ」
「みんな、じゃなくお前に向けて撃ったんだが。届かなかったか?」
そう言って、手塚はおもむろに跡部の手を握った。考えてみれば、自分から手を握るのはこれがはじめてだった。いつもは当たり前のように跡部が手を差し出してくれたから。
「と、届いた、けど……」
両側から両手を包み込むように握ると、跡部は急にしどろもどろになった。手塚は少し満足した。
「跡部、一つ頼みがあるんだが」
「頼み? なんだよ改まって」
跡部は気を取り直したように顔を上げた。手塚は最初のころ事務所から教わったように、握った手にギュッと力を込めつつ、しっかりと目線を合わせながら口を開いた。
「もっとお前と会って話がしたいんだ。握手会とかじゃなく、個人的に」
「それって、シークレットライブかなんかのことか?」
跡部の的外れな返答にも手塚はめげなかった。
「お前が見たいと言うならお前だけに歌ってもいい。だが、それよりも、お前にはアイドルをしていない俺を知ってほしい。お前のことも、もっと知りたい。出来れば手だけじゃなく、いろんなところに触れたい」
いくら跡部でも、ここまで言えば伝わったらしい。逃げ道を探すように跡部の目が泳いだ。
「でも、お前、アイドルだろ」
「そこを心配してくれるなら、幸い、うちの事務所には恋愛禁止なんてルールはない」
「いや、だけど、」
跡部は意味のない言葉を繰り返した。あと一押し。手塚は握った跡部の手ごと両手を顎くらいまで持ち上げて、小さく首を傾げた。必殺のおねだりポーズである。
「それとも、アイドルをしていない手塚国光には興味がないか? ただの手塚には心を傾ける価値はないと?」
跡部は長い間唇を噛んでいたが、最後の最後には小さな声で「ある」と言った。手塚の顔に、ステージの上でも見せたことのないような微笑みが浮かぶ。
「なら、これからはいつでも会えるな」
「ただし、これからも握手会には並ぶからな」
手塚の言葉に被せるよう、まるでそれが条件だとでも言うように跡部は言った。
「最初に好きになったのは、アイドルをやってる手塚国光だから。何があってもファンでいさせろ」
「ああ、今後とも応援よろしく。だが、アイドルじゃない俺のことも、もっと好きになってもらうからな」
手塚はそう晴れやかに宣言して、跡部を大いにあたふたさせた。